「ヘッドホンをしてPC作業をしていたら、知らぬ間に家族が真後ろに立っていてビックリ…!!」
そんな経験ないでしょうか。
ドアとデスクの位置関係によって、デスク環境、特に心理的な環境が異なってきます。特に家族と同居している人や、一人暮らしでも怖がりな人にとってはその影響が大きいでしょう。
位置関係のパターンは、物理的というより心理的な位置関係で考えた方が良さそうなので、視野に入る・入らないという向きの2分類で考えてみます。
※実際には、広いリビングにデスクを置いたり、ドアのない空間にデスクを置いたりと、分類に当てはまらないケースもあると思います。まずは一般論として、ドアのある部屋にデスク一つを設置することを想定しています。
人間の視野
人間の視野にはグラデーションがあります。いわゆる「視野の広さ」としては左右約100度の範囲を含み、これを「周辺視野」といいます。
さらにその中で、より意識を集中して見られる範囲を「有効視野」と呼び、おおむね左右約35度、目の前に集中しているときはさらに狭くなります。
人の出入りに気づくという意味では、左右約100度の「周辺視野」の範囲内にドアが見えるかどうかが論点になりそうです。
ドアとデスクの向き
デスクに向かった状態で、①ドアが視野に入る、②ドアが視野に入らないの2パターンが考えられます。
パターン①|ドアが視野に入る配置
ドアが自分の正面、もしくは斜め前など、周辺視野の範囲内にあり、人の出入りに気づける配置です。
メリット
- 人の出入りに気づけるため安心感がある
- 人の出入りがあっても振り返らず確認・会話しやすい
デメリット
- 出入口側の動きが見えるので気が散りやすい
- 入室→着席まで、回り込む動線になりやすい
パターン②|ドアが視野に入らない配置
デスクに向かっている時、ドアの状況が見えない配置です。
メリット
- デスク上のアクティビティに集中しやすい
- 入室→着席の流れが比較的スムーズ
デメリット
- 人の出入りが分からないため、人によって注意力の低下や不安感を引き起こす可能性がある。
人間の本能
基本的には、横目にでもドアが見えた方が、安心感を得やすいのでオススメです。
では、なぜドアが見えると安心感があるでしょう。
理由として考えられるのは、人間の防衛本能です。
ドアが見えないということは、未知のものに対する警戒心を抱くことでもあります。
眺望−隠れ家理論
人文地理学者であるJ・アップルトンは、「眺望−隠れ家理論」という考えを提唱しました。
人間は無意識のうちに「眺望」と「隠れ家」を両立できる景観や場所を求める、という理論です。
「眺望」とは周囲を見渡せること、「隠れ家」とは自分の身を守れることです。その両方を得られる環境は、かつて狩猟民族だった人間にとって、狩猟をするにも敵から身を隠すにも有利だったため、人間は本能的にこの環境を「居心地がよい」と感じると考えられています。
「ドアが視界に入る」ことは、「眺望」の一種なのだと思います。